おれが、おまえを、可愛くしてやる。
「近すぎて告れないってやつか」ふむ、と顎を摘まむ浅葱さんは、「まあ……分からないでもない。もうひとつ。おれが気になっているのはおまえ……なんで、服とかこだわらないんだ? 興味がないってわけでもなさそうだが……」

「あーそれは。理系って女の子少ないんでそれだけでモテるってのもあって。正直気合入れなくってもちやほやされるんで……それで……流されてる感じはあったんですよね……純平はどうせ、わたしのことなんか見てくれないし。彼には彼の世界があって、わたしの入る余地がない……って思ったんですよね。

 会社入って。恋に落ちて……そんな純平を見ているだけで幸せで。でも……ちょっと辛いなぁ……ってのが本音です。

 いえ。彼には幸せでいて欲しいんですけど。だから純平と、好きなひとが一緒になってくれれば嬉しいなと……」

 ――あれ。やばい。涙が出ちゃう。まずい。

 すると。頭のてっぺんにやさしいぬくもりが伝わる。ぽんぽん、と、わたしの頭を撫でる浅葱さんの手。
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