おれが、おまえを、可愛くしてやる。
「ほんで。約束通り髪を切るぞ。どうする? ロングを維持するか……肩を超えたセミロングか……ばっさり肩のうえらへんまで行くか。せっかくあどけない少女っぽいメイクにしたんだから肩らへんまで行くのも手だが」

「あじゃあ。肩よりうえくらいまで行ってください。……実は、浜辺美波さんや、『アンナチュラル』の石原さとみさんとか……すっごく……憧れてるんです」

 即座に答えるおまえが愛おしい。おれが、微笑んでなにも言えずにいると、頭の回転の速いおまえは、「あでも。浅葱さん、どうして髪切れるんです? 美容師じゃないと普通無理ですよね……」

「美容専門学校出てるから」

「……」言葉をなくしたおまえ。「知りませんでした。神は万物を与えるんですね。あんなに仕事の出来る浅葱さんだから……てっきり理系の大学出身かと……」

「昔っからメイクやスキンケアが好きでな。美容男子って言葉がなかった時代から好きで好きでたまらなかった。カットは久々だが技術はそれなりに磨けたと自負している。……さて。道具取りにいくからちょっと待ってろ。……そうだな。カモミールティーでも淹れようか。すこし待ってな」
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