おれが、おまえを、可愛くしてやる。
 ……どこかで聞いた台詞だな……。にしても、会社の人間の観察眼には恐れ入る。「麗奈は……周りのこと、よく見てるよねぇ……さっすがシスサポ。……でも、傍から聞いていて、いちゃついているように聞こえなかったかな……大丈夫かな。わたしたち……」

 なんせ、朝一番にカミングアウトしたばかりなのだ。場内は盛大な拍手に包まれた。……おめでとう! よかったですねーと祝って貰えたのが救いである。

「大丈夫だよ」と麗奈はわたしに目くばせをする。「浅葱さんってその辺すっごくドライだし、割り切ってる感あるよね。早めにカミングアウトしたのも、あんたの精神的負担を考えてのことだと思うよ? あと、……牽制の意味も込めて……。

 下手に噂されるよりさっさと明かしたほうが当人同士も周りも楽なんだよ。もしかして? と思って噂したりもやもやしながらするよりかは、周りとしては、ハッキリ宣言された方が扱いやすいし」

「そっか」
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