おれが、おまえを、可愛くしてやる。
 牽制、の意味は分からないまでも。ひとまず。周りに迷惑をかけてなさそうなことに一安心。望海は同期で、二か月間の研修を一緒に受けた仲であり、自然と仲良くなった。元々彼女はシステムサポート部志望だったので、わたしたちが受けたような研修内容は本来は学ぶ必要はないはずだが。ともあれ人事や経理部採用でもシステムを学ぶ研修は必須。直接プログラミングをしない部署に配属される人間であっても、基礎知識、というのは必要だという会社の方針で、新入社員は全員、二ヶ月にも及ぶ研修を受けている。

「にしても望海。すっごいイメチェンしたよね。似合ってるよ。可愛い」

「あ……ありがとう」とわたしは短くなった髪に触れ、「まだ、……この長さ、慣れないな。背中がスースーして変な感覚」

「そのうち慣れるよ」ははっ、と、ショートボブが似合う麗奈は明るく笑う。「美容室に行ったの? すんごい可愛いよその髪型。望海のよさが際立っている。……素敵な美容師さんが見つかってよかったね」

 その言葉を受けて、わたしは、にっこりと微笑んだ。

「……うん。腕利きの美容師さんがいてね……」

 * * *
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