おれが、おまえを、可愛くしてやる。
 でも、きみは――違った。

 体育の授業でペアが出来なくて困っていると、きみが、「一緒にやろうよ」と声をかけてくれた。――移動教室のとき、独りぼっちで歩いていると、きみが、行こうよ、と誘ってくれた。周りの女の子の友達には、ごめん、わたし、加藤くんと行くから……と言って。

 この手の施しをふるまう人間には、必ずや、優越感というものがつきものであるが。きみには……それが、見られなかった。

 親同士仲がよいというのもある。うちは、ぼくが保育園の途中で引っ越して。誰も周りに知らない人間ばかりで――しかもぼくは一人っ子だから……かつ、この容姿であるし。だから、浮いていた。

 そんなぼくにいつもきみは――やさしくしてくれた。
< 87 / 225 >

この作品をシェア

pagetop