おれが、おまえを、可愛くしてやる。
 女の子とはしゅっちゅう喧嘩になるみたいだけれど。ぼくたちの間にそれはなかった。きみは女の子相手だと……妙にライバル視するところがあって、互いにばちばちやりあっている感じだった。ぼくに対しては、ちょっとした、そんな女の子同士のいざこざをこっそり愚痴ったり……また、疲れているこころを、ぼくとのまろやかな会話で癒されている節があった。いや――癒されていたのはぼくのほうだったろうか。

 同じ保育園時代は、『純平くん』『のぞみん』と呼び合う仲だった。それが――小学校に入った途端、苗字呼びに変更する。通常はだ。しかし、きみは、ぼくのことを……『純平』と呼んだ。周りの女の子に、『望海、加藤くんのこと好きなの?』って聞かれたら「そうだよ」とあっさり答えていた。

 ――みんなも喋ってみれば分かるよ。純平って人畜無害。すんごいピュアピュアなんだよ。話も面白いし物知りだし……話していてとっても楽しいんだ。

 ――いったいそれがどれほどの勇気を伴う発言だったのか。そのときのぼくにはまだ自覚が足りなかった。
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