おれが、おまえを、可愛くしてやる。
 かつ、きみの気持ちを無視して……。『もふパラ』離脱を知らされていない時点でお察し案件だ。浅葱蓮二にとって、きみは、その程度の相手なんだよ。相手のためを思って身を引く、といえば、聞こえはいいが、要は――きみの意志を重んじてなどいないということだ。あのときのきみの表情でそれが分かる。……浅葱蓮二にとって、恋人は、所詮、人生を構成する部品程度でしかないのかもしれない。

 ――さて。どうする……加藤純平。

 九回裏。2アウト満塁。勝負はさぁ――これからだ。
 
 いったいどうやって仕掛けたらいいのか分からないけれど。ただ――なにもせずにいることは出来ない。きみには、もっと、ふさわしい相手がいる。きみの意見を聞き、きみの意見を尊重する相手が。そう――研修であれだけ活躍した笹塚さんのように。

 思い立って、メッセを送る。既読がすぐつき、返信があったので、ぼくは、カフェを出ると電話をした。

「……あ。もしもし、……山口さん。望海のことなんだけど」

 切り崩すなら身内からだよな、と、どこかの戦国武将が言っていた気がする。たぶん、……その通りだ。

 *
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