偶然の再会から外交官の溺愛が止まりません
 抱っこされている春花は今日もはしゃぎ過ぎたのか、髪を乾かしたあとは、東條の腕に抱かれているうちにうとうとしていた。
 それを見て、依織は大丈夫と判断した。
 ここまで眠くなってしまうと春花がぐずることはほとんどない。寝つきもいいのだ。

「じゃあ、お願いします」
 東條にお願いして、依織はバスルームへ向かった。バスルームはかなり広く、そんな中にも黄色いアヒルが何羽か置いてあったりしてくすっと笑ってしまう。

(きっと春花は喜んだわね)
 つん、とアヒルをつつく。
 先ほどはこのバスルームからきゃっきゃとはしゃいだ声が聞こえていたけれど、それはこの大きなお風呂場で東條に遊んでもらっていたからだろう。

 しっかりとリラックスして、依織はバスルームを出た。
 髪を乾かして、リビングに向かうと、東條がちょうど階段から降りてくる。

「春花はいい子で寝たよ」
「寝つきもいいんです。あの子」
「本当にいい子だな」

 東條が依織と一緒にソファへ座る。一瞬、静けさが二人の間に訪れた。
「今日は来てくれてありがとう」
「こちらこそ、いろいろお心遣いいただいているのが分かって、本当にありがたいです」

 今後のことを話さなくてはいけない。
 そんなことは分かっていたけれど、静かな気配に依織は言葉を紡ぐのを忘れそうだった。
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