偶然の再会から外交官の溺愛が止まりません
 今回のパーティは東條が担当している、東欧のセレヴィア王国の新任大使を紹介するために開催されているものということだ。

「カクテルパーティだから、比較的小規模だ。依織は俺の側にいればいいよ」
 そう言われたものの、いろんな国から集まっている招待客はとても華やかだった。

 父が海外の駐在員をしていた時も、このようなパーティに招待されていたと思い出す。
『小さなレディ、堂々として。挨拶は大きな声でね』
 父はいつも依織を小さなレディと呼んでいた。

 依織を大人として扱うことで自覚を促していたのだと今なら分かる。
(堂々と、大きな声で挨拶……)

 早速、東條は新任大使へ英語で話しかける。
『ご新任おめでとうございます。日本での滞在が実り多いものとなりますよう、心よりお祈り申し上げます』

 依織はにこやかに東條のそばに立ち、挨拶とともにお辞儀をして見せる。

『東條さん、ありがとう。今日は素敵な女性をお連れですね』
『私の婚約者です』
 堂々と婚約者と言われることに照れもあったが、恥ずかしがるのは悪いことではない。

 依織は大使に笑顔を向けて、同じように英語で返した。
『ご新任、おめでとうございます。お会いできて、光栄です』
 英語での会話がスムーズであることに大使も気分をよくしたようだった。
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