偶然の再会から外交官の溺愛が止まりません
 東條の母が立ち上がって、依織の肩にそっと触れてくれた。
「ひとりで大変だっでしょう? これからは私たちのことも家族だと思ってもらえたら嬉しいわ」

 東條が育った家はとても温かい家庭だった。
「それに女の子の孫は初めてで、本当にとても嬉しいし、会いたいの」
 肩に伝わる熱から、それが本当に心からの言葉なのだと分かる。

 自分を見つめる東條がじわっと滲んだ。
 苦笑した東條が依織の濡れた目元を指先で拭ってくれる。
 依織は母に向かって微笑んだ。
「今度、連れてきます」


 それから二週間ほど経った週末、依織と春花は東條家を訪れた。
 驚いたことに東條家には長兄と次兄の一家までいて、庭にはバーベキューのセットがしてあった。

 バーベキューと言っても、バーベキューコンロの前にいるのは熟練の料理人なのが、東條家らしかった。
「悠臣、久しぶりだな」

 長兄である旭陽(あさひ)は迫力がある人だ。
 今後、東條家を背負って立つと言われており、次世代の財界のプリンスとも称されているので当然と言えば当然だった。
 けれど、依織を見る目が思ったよりも優しかった。
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