偶然の再会から外交官の溺愛が止まりません
「どうしたの?」
「いや……」
 その首筋から背中にかけての色香はまずい。
 細い首からすんなりと伸びた背中へのラインは東條に別のことを彷彿とさせた。
(思ったより背中が空いている)

「変だった?」
「綺麗だ。今日はなるべく壁際にいる方がいいんじゃないか? それか、会社の人に後ろにいてもらって……。いや、俺が後ろに……」
 自分が動揺していることに東條は気づいていなかった。

「悠臣さん、お仕事してください」
 そう言うと繊細なレースで作られたショールをふわりと羽織る。
 依織はふっと東條に笑顔を見せた。

 もしかしてお見通しだったのだろうかと思うと微妙な感じだが、依織にならばいいと許してしまうのは、彼女にだけは弱いからだ。

「ショールがあったのなら、最初から付けておいてくれ」
「だって、せっかくのドレスを悠臣さんに見せたかったんです」

 こういうところ! 非常にけしからんと思う。最近、依織は東條を振り回し過ぎている。

「家に帰ったらお仕置きだな」
「え?」
 聞こえていなかったようで、きょとんと振り返った依織は無防備な表情で、それは東條だけに見せるものだった。
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