偶然の再会から外交官の溺愛が止まりません
『おはよう。教えてもらった住所のところに来たよ』
「ありがとうございます。すぐに降ります」
 依織は急いでステンレスマグを二つ、バッグに入れた。

 マンションのエレベーターを降りながら軽く深呼吸する。
(少し落ち着かなきゃ)

 依織がエントランスを出ると、濃紺の車の前に爽やかな白とブルーのストライプのシャツと、白のストレートのデニムを履いた東條が立っていた。

 笑顔で依織に軽く手を挙げる。
「おはよう」
「おはようございます。わざわざ、ありがとうございます。分かりづらくなかったですか?」

「うん。スムーズに来られたよ」
 濃紺のドイツ車は東條のイメージにぴったりだ。スマートな仕草で東條は車のドアを開けてくれる。

「どうぞ」
「ありがとうございます」
 車内インテリアはパネルもシートも革張りで落ち着いた雰囲気だった。

 依織を先に載せた東條が運転席に座る。ドアポケットからサングラスを取り出して掛けていた。

「この前言っていたところでよかったよね? 一応ナビは入れてあるけど、いい場所があったら寄り道しながら行こうか」
「はい。そうしましょう」
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