偶然の再会から外交官の溺愛が止まりません
 ジョギングから帰ってきた東條はシャワーを浴び、ワールドニュースを流しっぱなしにして、朝食をとる。
 シリアルとコーヒー。東條の朝はいつもこれだけだ。

 経済誌の他、いくつかの新聞に目を通し、カバンを持って部屋を出る。
 登庁は二十分かけて徒歩で行く。

「悠臣、おはよう!」
 執務室に入る前に声を掛けてきたのは同期の(たちばな)玲奈(れいな)だ。彼女とは大学の法学部から一緒のキャリアだった。

「悠臣は今日は対外交流会、だっけ? 同期会には参加できないって言ってたものね?」
 同級生は橘を綺麗だと言ってチヤホヤしていたが、悠臣は割と興味がない。
 それが面白いのか、橘はよく東條に絡んできていた。

「対外文化発信プロジェクト説明会な」 
 いつものように東條はさらりと流す。

「みんな、悠臣に会いたがってたのに、残念!」
「仕事だから仕方ない」
 淡々と返事をして、東條は自席でパソコンを立ち上げる。

 資料、報告書、会議。
 メールは時差もあり、東條が出勤する頃に大量に届いており、全て確認のために目を通す。

 もちろんメールは日本語だけではない。人によっては専門の翻訳チームに回すこともあるが、東條はほとんどそのまま読めるため、確認し必要に応じて対応する。

 昼には現地政府からの規制調整の依頼などもあり、担当官と打ち合わせをしていたら時間はあっという間だった。
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