偶然の再会から外交官の溺愛が止まりません
(どれくらい会ってないのかなぁ)
 スマートフォンで履歴を確認すると、東條とは三週間以上会っていなかった。
 確かに忙しくなるとは聞いていた。

 初めのうちはそれでも連絡をくれていたのだが、だんだんその回数も少なくなり、今週は全く連絡がなかった。
 依織が送ったままのメールは既読にはなっているものの返信はない。

「ふぅ……」
「なんだ? 桜葉、元気がないな」
 依織が落ち込んでいることに気づいたのは、上司の御堂だった。
 つい零れるため息を聞かれて、声をかけられる。

「え?」
「顔に出てたし、ため息も出てたよ。何かあった?」
「いいえ。何でもないです」
 依織は首を横に振って笑顔を作った。

「すみません、気を使わせてしまって。資料を用意しておけばいいですか? 体験ツアーでしたよね」
「あ……ああ」
 御堂は苦笑すると、依織の頭を軽く撫でる。

「無理しなくていいからな」
 無理はしていない。
 東條は最初から忙しくなると言っていたのだから、連絡がなくても仕方のないことなのだ。
 依織は自分にそう言い聞かせる。
< 51 / 59 >

この作品をシェア

pagetop