偶然の再会から外交官の溺愛が止まりません
 依織は笑顔で首を横に振った。
「ダイエットなんです! 大丈夫ですよ」
「顔色もあまり良くないから心配だったんだが……。無理はするなよ?」
「お気遣い、ありがとうございます」
 あまり気にしていなかったけれど、本当に食欲がない。

 あれほどの失恋だったのだから仕方ないだろう。時間が解決するまで待つしかない。
 依織はそう思っていた。


 その数日後のことだ。
 朝、ベーコンを焼いていて急に匂いが胸につかえる感じがして、依織はトイレに飛び込んだ。
 よろよろとしながら、キッチンに戻りベーコンを廃棄する。

(うう……古かったのかなあ)
 一瞬そう思いかけ、首を横に振る。
 そんなはずはない。昨日スーパーで買ってきたばかりだ。
 その後も胸のむかつきが止まらなくて、自宅でテレワークに切り替えさせてもらった。

 ミーティングのあと、会社のチャットシステムへ御堂から着信があった。
 依織は通話のボタンを押す。

『体調が悪いと聞いたけど、大丈夫か?』
「今朝、ちょっと戻してしまって……。急にテレワークにしてすみません」
『いや、こっちは問題ない。けど心配だな。この前の交流会の時も食欲がないと言っていたし』

 さすがにこんなに何度も心配をかけてしまったら、少しくらいは話をしておいたほうがいいだろう。
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