偶然の再会から外交官の溺愛が止まりません
「そんなに力を入れなくていいよ。リラックスして、いつもの桜葉でね」
「承知しました」
 幸い、以前のレセプション会場とは別の部屋だったので、それ以上思い出を刺激されることもなく、依織は仕事を始めることができた。

 会場の中では御堂に付いて、必要があれば通訳をしたり、名刺交換をするなどして交流会の時間を過ごす。
 依織は英語の他フランス語も少し話すことができたので、いろんな会社と交流ができ、有意義な時間となった。

 以前、レセプションがあったときは、ソシアルグランドホテルのビュッフェはおいしいからとたくさん食べたのだが、最近、食欲がないこともあって、この日はほとんど食事を食べずに過ごす。

 食事もせずに会場を回っていたら、少し気分が悪くなってきてしまった。
「桜葉、少し顔色が悪くないか? 大丈夫? 軽く食べたか?」
「いえ……実はあまり食欲がなくて……」
 御堂は軽いため息をつく。

「交流会とはいえ、食べてくれて構わないんだから」
「本当に大丈夫なんです」
 前はおいしそうに見えたスモークサーモンやローストビーフも、今はあまり食べたいと思わなかった。

「最近痩せたよな? なにかあったのか?」
 いくらいい上司でも、さすがに振られた話を気軽にできるような間柄ではない。
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