偶然の再会から外交官の溺愛が止まりません
 病室からは春花のはしゃいだ声が聞こえる。
 病室を覗くと、春花が東條の膝に乗っている。
「春花!」
「ママー! あのね、パパいたの」
 その心から嬉しそうな顔を見たら、違うからやめなさいなんて、とても言えなかった。

「依織、春花は今度、三歳になるそうだ」
「そうなの! 今は二つなの!」
 確かに自分の歳をそうやって教えてはいた。昨日ついた嘘は一瞬にしてバレたようだ。春花は悪くない。

 依織は気まずい心地になったが、東條は全く気にしていないようだった。
 それどころか、楽しそうですらある。東條は今日、私服だった。爽やかなブルーのシャツと白のパンツはとてもスタイリッシュだ。

「春花は偉いな。さっきお薬も飲んだもんな?」
「うん! がんばったよ」
 東條がイケメンだからというわけでもないだろうが、春花がすっかり懐いている。

 確かにもともとぐずることのない子で、手はかからないが、人見知りではある。
 特に父親がいないせいか、大人の男性が苦手であまり積極的に自分から懐きにいくことはない。
 なのに目の前のこの光景はどうしたことだろうか。

「そうなの? 偉かったわね。東條さん、春花をあやしてくださってありがとうございます。もう、帰りますね。春花もバイバイしようか?」

「だって……いっしょにごはん、行ってくれるって」
 春花の大きな目にみるみる涙がたまっていく。
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