偶然の再会から外交官の溺愛が止まりません
「何言ってるんですか」
 ふっと東條は笑った。
「本当だよ」
 東條は長い脚でさっさと春花のもとに向かってひょいっと捕獲してしまう。急に抱き上げられて春花はきゃっきゃと嬉しそうに笑っていた。

 結局、ショッピングモールの中にあるフードコートで食事をすることになった。
 春花は親子丼のお子さまセットを選択し、依織はパスタを選ぶ。東條はラーメンを頼んでいた。

 まだ、食事が上手くできない春花に前掛けをして、隣で面倒を見ながらパスタを口に入れる。
 春花は食べるのが上手ではなくても、いつもきちんと座っておとなしく食べる。

 東條はその様子を見ながらラーメンを食べていた。ラーメンなんて庶民的なものを食べていてさえ品のある人だった。
 それを見ていたらなんだか依織は笑えてきた。

「ん? なに、依織」
「ふふっ、だって……東條さんがラーメンって」
「俺だってラーメンくらい食べる。日本に帰ってきたら食べたいものリストには入っているよ」

「そんなリストあるんですか」
「ある」
 澄ました顔をして東條がラーメンをすするのを依織は不思議な気持ちで見ていた。

 あんなにつらくて、きっともう会えないと思っていた人が目の前でラーメンをすすっている。不思議な気持ちだった。

 もともと許せないという感情はなかった。ただ、つらかっただけだ。感謝もしていた。それは春花との縁をくれたことだ。
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