未完の恋、指先で溶かして
帰宅してシャワーを浴び、髪を拭きながらリビングへ戻る。テーブルの上に置いたままのスマートフォンを手に取り画面を点灯させると、真広から通知が届いていた。
ここで俺の手を取るのか、それとも、報われずとも佐野だけを一途に想い続けるのか。
柄にもなく、真広の選択に緊張している自分がいた。
一度、深く息を吐いてからメッセージを開く。
そこには、ただ一言«飲み直す»とだけ送られてきていた。
それを見て、自然と口元に笑みが零れる。俺は自分の住所を返信し、リビングに散らかっていた仕事の資料を丁寧にまとめると、寝室のデスクへと追いやった。
この家に女性を招き入れることなんて、今まで一度もなかった。同窓会や接待の場で、それらしい雰囲気にならなかったわけではない。だけど、どんな女性を前にしても、それに応じる気にはならなかった。
理由は単純で、俺にはもう、まともな恋愛なんて出来そうにないから。だからこそ、真広は"ちょうどいい"相手だった。
俺を好きにならない。そして、お互いに別の誰かを心の底で想い続けている。
それくらいの方が、お互いに変な情が湧かなくて、俺には心地がいい。
ここで俺の手を取るのか、それとも、報われずとも佐野だけを一途に想い続けるのか。
柄にもなく、真広の選択に緊張している自分がいた。
一度、深く息を吐いてからメッセージを開く。
そこには、ただ一言«飲み直す»とだけ送られてきていた。
それを見て、自然と口元に笑みが零れる。俺は自分の住所を返信し、リビングに散らかっていた仕事の資料を丁寧にまとめると、寝室のデスクへと追いやった。
この家に女性を招き入れることなんて、今まで一度もなかった。同窓会や接待の場で、それらしい雰囲気にならなかったわけではない。だけど、どんな女性を前にしても、それに応じる気にはならなかった。
理由は単純で、俺にはもう、まともな恋愛なんて出来そうにないから。だからこそ、真広は"ちょうどいい"相手だった。
俺を好きにならない。そして、お互いに別の誰かを心の底で想い続けている。
それくらいの方が、お互いに変な情が湧かなくて、俺には心地がいい。