未完の恋、指先で溶かして
 退勤後、外で待ち合わせるにはリスクが高いからと、俺の家にまっすぐ来ることになっていた。

 何をするかわからないし、何を用意しておけばいいかもわからず、来たら出前でも頼めばいいかとのんきに構えていた。

 着替えてソファで待っていると、インターホンが鳴った。モニターを確認しに向かうと、マスクにサングラス、帽子と、これまた重装備な人間が映っている。

 怪しさ満点だが、俺にはこれが真広だとわかる。


「はい」

『早く開けて』


 モニター越しに聞こえた切実な小声に、思わず笑ってしまいそうになる。

 少しからかってやろうと「どちら様?」と問いかけると、真広が焦ったように『早く開けてってば!』と画面越しに怒っているのが見えた。

 満足した俺は、オートロックを解除し「部屋の鍵も開けとく」と伝え、玄関へ向かった。

 それからしばらくして、玄関のドアが静かに開き、「お邪魔します」とか細い声が聞こえてきた。おそらくここに来るまでも、細心の注意を払ってきたのだと思う。

 玄関に出迎えに行くと、真広はマスクを外し、少しむくれた表情をしていた。


「ねぇ、わざと!?ここに来るまでに見つかるかもって怖かったんだからね!」

「ごめんって。てか、何その大荷物」


 真広は、何やら大きな荷物を抱えてきていた。
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