`未完の恋、指先で溶かして
「ごはん一緒に食べようと思ってさ、スーパーで買い物してきたの。佐久間くんの食事環境終わってるし、それに…」


 そう言って、彼女は荷物をキッチンの冷蔵庫の前へ下ろした。

 真広に近づき、続きを促すように待ってみる。すると、彼女は少し照れくさそうな表情でこちらを見上げてきた。


「…佐久間くんは、お互いにしか寂しさが埋められないと思う…って、言ってたけど、少しでも一緒にいる時間増やせば、辛いことを考える時間が減るんじゃないかなと思ったの」


 言いながら、袋から食材を取り出していく。

 この間、俺が言っためちゃくちゃな提案を、彼女がこれほど真剣に考えてくれていたとは思わなかった。

 少し顔を赤くしながら食材を並べる彼女の隣に、口元を緩ませてぴったりくっつくように立つ。すると、真広はすぐに身を固くして警戒した。


「な、何! でかい!」

「何それ、悪口?」

「違うけど…! 何なの!?」

「何作ってくれる?」

「うま塩鳥出汁鍋」

「この時期に?」

「春はまだ許されるでしょ!」


 やっぱり、この雰囲気は嫌いじゃない。高校時代からよく話す方ではあったけれど、二人きりになる機会は少なくて気付かなかった。

 彼女の傍は案外温かくて、心地がいい。
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