`未完の恋、指先で溶かして
ゆらり、揺らされ
彼女とそんな時間を過ごすようになってから、それなりの月日が流れた。
会う頻度は、彼女の仕事の詰まり具合によってバラバラだ。週に何度も顔を合わせることもあれば、一ヶ月近く音沙汰がないこともある。
俺は俺で、コマーシャルの撮影現場に時折顔を出す。たまに真広がそこにいることもあるが、そのたび、俺たちは一瞬目を合わせるだけで、言葉を交わすことはない。裏で繋がっていることなど一切匂わせないよう、表では何でもない他人のふりを徹底していた。
だけど、今うちには、鼻歌を歌いながらキッチンで料理をする真広がいる。彼女がこの部屋にいる風景は、いつの間にか俺の日常に馴染んでいた。それでも、俺たちは決して交際はしていない。
俺の心には相変わらず森山がいて、真広の心には相変わらず佐野が居座っている。ただ、相手を想い焦がれるだけの孤独な時間を少しでも削り取るために、俺たちはお互いの時間を差し出し、寄り添っている。
正直、森山と佐野が正式に付き合っているわけではない以上、俺達が恋を諦める必要なんてないのかもしれない。だけど、あの二人は、意地を張っているだけで、お互いだけを想い合っている。俺はそれを痛いほど理解しているから、今さら希望を持って恋を続けようという気にはなれなかった。
真広は真広で、一度佐野と交際し、そして拒絶されたことで心が折れそうになっている。それでもまだ、諦めきれないと、彼女は言っていた。
会う頻度は、彼女の仕事の詰まり具合によってバラバラだ。週に何度も顔を合わせることもあれば、一ヶ月近く音沙汰がないこともある。
俺は俺で、コマーシャルの撮影現場に時折顔を出す。たまに真広がそこにいることもあるが、そのたび、俺たちは一瞬目を合わせるだけで、言葉を交わすことはない。裏で繋がっていることなど一切匂わせないよう、表では何でもない他人のふりを徹底していた。
だけど、今うちには、鼻歌を歌いながらキッチンで料理をする真広がいる。彼女がこの部屋にいる風景は、いつの間にか俺の日常に馴染んでいた。それでも、俺たちは決して交際はしていない。
俺の心には相変わらず森山がいて、真広の心には相変わらず佐野が居座っている。ただ、相手を想い焦がれるだけの孤独な時間を少しでも削り取るために、俺たちはお互いの時間を差し出し、寄り添っている。
正直、森山と佐野が正式に付き合っているわけではない以上、俺達が恋を諦める必要なんてないのかもしれない。だけど、あの二人は、意地を張っているだけで、お互いだけを想い合っている。俺はそれを痛いほど理解しているから、今さら希望を持って恋を続けようという気にはなれなかった。
真広は真広で、一度佐野と交際し、そして拒絶されたことで心が折れそうになっている。それでもまだ、諦めきれないと、彼女は言っていた。