未完の恋、指先で溶かして
 真広が完成させたのは、スープカレーだった。あまり家庭の食卓で目にすることのないメニューに、少し驚かされる。


「すごいな。スープカレーか」

「この間北海道のロケに行ってきて、それで素買ってきた。佐久間くんも食べるかなあって。お土産もあるよ」

「だから、それで大荷物だったわけ」

「そうそう。ご飯がおいしくて絶対太った」


 そう言いながらも、彼女はスープカレーを幸せそうに頬張っている。そんな姿に、思わずクスッと笑みが漏れた。

 彼女は仕事柄、体型を維持しなければならない。「佐久間くんといると太るから、減量中は会わない」と、この間も文句を零していた。

 実際、時々こちらから誘っても、断られることがたまにある。


「北海道か、いいな」

「景色が綺麗だった。最近北海道に第二の家を建てるって人の話をよく聞くけど、理由がわかる。空気良いしね」


 彼女の話に「確かにね」と頷きつつ、スープカレーを平らげると、皿は一瞬にして空になった。


「ごちそうさま」


 そう言って食器を下げ、シンクで洗い物を始める。


「置いといてもいいのに」

「いやいや、料理してくれたし後片付けくらいするって。何で人の家でそんなに働いてんの?」


 そう笑いながら問いかけると、真広は少し不満げな表情を作ってみせたが、すぐまた残りの具材を口に運んでいた。
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