未完の恋、指先で溶かして
「真広、わかってやってんの? それ」
問いかけると、彼女は静かに目を開け、じっと俺を捉えた。
「…わかってるよ」
「佐野のことは?」
「…もう、好きじゃない」
きっぱりと言い切る彼女に、俺はわずかに眉を寄せた。
会わない間に割り切れたのか。その心の機微までは理解できなかったが、彼女の中で何らかの折り合いがついたことだけは分かった。嘘を吐いているようには見えない。
ふと、俺の腕を掴んでいる真広の手に目をやった。その指先が、微かに震えている。彼女がどれほどの勇気を振り絞ってこの行動に踏み出したのか、その震えがすべてを物語っていた。
それを見てなお拒み通せるほどの意志の強さを、俺は持ち合わせていなかった。
「…もっかい、目、瞑って」
促すと、真広は素直に瞼を閉じた。顔を近づけ、確かめるようにゆっくりと唇を重ねる。真広も応じるように俺の背中に腕を回し、すべてを受け入れてきた。
くらりと眩暈を起こす。こんなにも甘く、溺れるようなキス、したこともない。胸の奥で燻っていたざわつきが、さらに強くなるのを感じた。
互いの体温に煽られるように熱は上がり、絡み合う舌がさらなる深みを求めていく。俺は彼女を抱き寄せたまま、寝室へと足を進めた。
買い物袋は、中身をしまわれることもなく床に置き去りにされたまま。だけど、今の俺達にとって、そんなことはどうだってよかった。
問いかけると、彼女は静かに目を開け、じっと俺を捉えた。
「…わかってるよ」
「佐野のことは?」
「…もう、好きじゃない」
きっぱりと言い切る彼女に、俺はわずかに眉を寄せた。
会わない間に割り切れたのか。その心の機微までは理解できなかったが、彼女の中で何らかの折り合いがついたことだけは分かった。嘘を吐いているようには見えない。
ふと、俺の腕を掴んでいる真広の手に目をやった。その指先が、微かに震えている。彼女がどれほどの勇気を振り絞ってこの行動に踏み出したのか、その震えがすべてを物語っていた。
それを見てなお拒み通せるほどの意志の強さを、俺は持ち合わせていなかった。
「…もっかい、目、瞑って」
促すと、真広は素直に瞼を閉じた。顔を近づけ、確かめるようにゆっくりと唇を重ねる。真広も応じるように俺の背中に腕を回し、すべてを受け入れてきた。
くらりと眩暈を起こす。こんなにも甘く、溺れるようなキス、したこともない。胸の奥で燻っていたざわつきが、さらに強くなるのを感じた。
互いの体温に煽られるように熱は上がり、絡み合う舌がさらなる深みを求めていく。俺は彼女を抱き寄せたまま、寝室へと足を進めた。
買い物袋は、中身をしまわれることもなく床に置き去りにされたまま。だけど、今の俺達にとって、そんなことはどうだってよかった。