再召喚され全てを失った元聖女は、麗しの騎士団長様の溺愛で絶望から立ち上がる。
生きる場所
「セーラは、今何が一番不安なんだ?」
「え?」
「この国での生活のことか? それとも、元の世界のこと?」
ロード様は私の隣に腰掛け、ゆっくりと頭を撫でてくれる。
心地の良いリズムに、眠たくなってしまいそうだ。
「……明確な理由がほしいのかも」
「理由?」
「日本に帰る理由。ここに残る理由。多分、それがはっきりしていないからこんなに悩んでるんです」
「理由、か」
なんとなくで決めることじゃないから。その場の思い付きで決められることじゃないから。だから、多分理由がほしい。
みんなが納得するような。そうだよね、そうするよね。そう言ってもらえるような。そんな理由がほしいんだ。
「セーラの気持ちは? 理由とか関係なかったら、セーラはどうしたい?」
「私、は……」
私は、どうしたい? 残りたい? 帰りたい?
そう聞かれても、やっぱりはっきりとは答えられなくて。
「決め手が無い?」
「……決め手と言うよりも、なんていうか……帰るにしても、残るにしても。どちらを選んでも、どちらかを捨てることになるのが怖いんだと思います」
「怖い?」
「はい。……日本を選んだら、私はもう二度とドラムトン王国に来ることはありません。そうしたら、ロード様やセイロン様、リゼやミレア、アレン君。私にとって大切な人たちとも、二度と会えなくなる。だけど、ドラムトン王国を選べば、日本を捨てることになる。生まれ育った国を、捨てることになってしまう。……多分、そのどちらもが怖いんです」
正直、自分の中でここまでドラムトン王国が大きい存在になるとは思っていなかった。
こんなにも大切な人たちがたくさん増えるとは、思ってもみなかった。
だから、明確な理由がほしいと思ってしまうのかもしれない。
「……俺は、どちらを選んでもどちらかを捨てたことにはならないと思ってる」
「え?」
「だって、セーラにとってどちらも大切だから悩んでるってことだろ? 俺だって、生まれ育ったこの国が大好きだ。それはセーラだって同じだろう。当たり前の事だ」
でも、そんな生まれ故郷に帰らずにここに留まるなんて、捨てたことと同じではないか。
「国を捨てるってことは、全てをなかったことにするのと同じだと俺は思う。今まで生きてきた人生を、まるっとなかったことにすることだと思う。だけど、セーラはそうじゃない。ニホンでの生活も生きてきた人生も、セーラはなかったことになんて絶対にできないし、そんなことしないだろ?」
「それは……もちろん」
「じゃあどちらを選んでもどちらかを捨てることにはならないよ。セーラは、ただ"これからの人生を生きていく場所"を選んだだけだよ」
「生きていく、場所?」
「そう。この国にだって、婚姻で他国に嫁ぐ王族の女性も多い。確かに自分で選んだわけでもないし、一度嫁いでしまったら国に帰ってくることもほとんどなくなってしまう。その国が生きていく場所になるわけだからな。だけど、心の底では故郷を愛してると思う。家族を想って、心配して、祈りを捧げて。……セーラは、そんな王族たちもこのドラムトンを捨てたと思うか?」
「……っ」
言われて、いかに自分の思考が凝り固まっていたのかに気付く。
「え?」
「この国での生活のことか? それとも、元の世界のこと?」
ロード様は私の隣に腰掛け、ゆっくりと頭を撫でてくれる。
心地の良いリズムに、眠たくなってしまいそうだ。
「……明確な理由がほしいのかも」
「理由?」
「日本に帰る理由。ここに残る理由。多分、それがはっきりしていないからこんなに悩んでるんです」
「理由、か」
なんとなくで決めることじゃないから。その場の思い付きで決められることじゃないから。だから、多分理由がほしい。
みんなが納得するような。そうだよね、そうするよね。そう言ってもらえるような。そんな理由がほしいんだ。
「セーラの気持ちは? 理由とか関係なかったら、セーラはどうしたい?」
「私、は……」
私は、どうしたい? 残りたい? 帰りたい?
そう聞かれても、やっぱりはっきりとは答えられなくて。
「決め手が無い?」
「……決め手と言うよりも、なんていうか……帰るにしても、残るにしても。どちらを選んでも、どちらかを捨てることになるのが怖いんだと思います」
「怖い?」
「はい。……日本を選んだら、私はもう二度とドラムトン王国に来ることはありません。そうしたら、ロード様やセイロン様、リゼやミレア、アレン君。私にとって大切な人たちとも、二度と会えなくなる。だけど、ドラムトン王国を選べば、日本を捨てることになる。生まれ育った国を、捨てることになってしまう。……多分、そのどちらもが怖いんです」
正直、自分の中でここまでドラムトン王国が大きい存在になるとは思っていなかった。
こんなにも大切な人たちがたくさん増えるとは、思ってもみなかった。
だから、明確な理由がほしいと思ってしまうのかもしれない。
「……俺は、どちらを選んでもどちらかを捨てたことにはならないと思ってる」
「え?」
「だって、セーラにとってどちらも大切だから悩んでるってことだろ? 俺だって、生まれ育ったこの国が大好きだ。それはセーラだって同じだろう。当たり前の事だ」
でも、そんな生まれ故郷に帰らずにここに留まるなんて、捨てたことと同じではないか。
「国を捨てるってことは、全てをなかったことにするのと同じだと俺は思う。今まで生きてきた人生を、まるっとなかったことにすることだと思う。だけど、セーラはそうじゃない。ニホンでの生活も生きてきた人生も、セーラはなかったことになんて絶対にできないし、そんなことしないだろ?」
「それは……もちろん」
「じゃあどちらを選んでもどちらかを捨てることにはならないよ。セーラは、ただ"これからの人生を生きていく場所"を選んだだけだよ」
「生きていく、場所?」
「そう。この国にだって、婚姻で他国に嫁ぐ王族の女性も多い。確かに自分で選んだわけでもないし、一度嫁いでしまったら国に帰ってくることもほとんどなくなってしまう。その国が生きていく場所になるわけだからな。だけど、心の底では故郷を愛してると思う。家族を想って、心配して、祈りを捧げて。……セーラは、そんな王族たちもこのドラムトンを捨てたと思うか?」
「……っ」
言われて、いかに自分の思考が凝り固まっていたのかに気付く。