再召喚され全てを失った元聖女は、麗しの騎士団長様の溺愛で絶望から立ち上がる。
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大神殿へ

「ロード様。大変お世話になりました」

「……あぁ。本当は大神殿まで送ってやりたかったんだが、申し訳ない」

「いえ。こうしてお見送りしていただいただけで十分です。ありがとうございました」


 ロード様と庭園を見たりのんびりと過ごすこと数日。とうとう私が神殿へ向かう日になり、朝からカイエン様に魔力を注いでもらった。

 そして王様への謁見を終え、今は王宮の大きな門の前。ロード様とリゼ、他にもたくさんの人が私を見送りに来てくれている。


「むしろ、あんなにたくさんのドレスやアクセサリーをいただいてしまって私の方が申し訳ないくらいです」

「何言ってるんだ。あれじゃ全然たりないくらいだよ」


 私の荷物なんてスーツと鞄だけだったのに、ロード様がたくさんプレゼントしてくれたためドレスやアクセサリーで三倍くらいに荷物が増えていた。

 これでも足りないくらいだなんて、この世界のご令嬢たちは普段どれだけ男性からプレゼントをいただいているのだろう。少し怖くなってしまう。


「リゼ。私の話し相手になってくれてありがとう。お世話もしてくれて、本当に感謝してる」

「こちらこそ……短い間ではありましたが、セーラ様の侍女として働けて幸せでした。ありがとうございました」

「落ち着いたらリゼにも手紙を書くわ。あ、でもその前にこの世界の文字を勉強しないと」


 ロード様もお手紙をくださると言っていた。その時は普通に頷いたけど、よくよく考えたら私は文字が読めないんだった。

 ロード様もそこは盲点だったよう。



「ははっ、そういえばそうだったな。俺もすっかり忘れていたよ。でも大神殿の神官たちに聞けば、文字を教えてくれるだろう」

「はい。そうします」

「聖女様、そろそろ参りましょう」

「……はい」


 神官の方に促され、私はみんなに頭を下げてから馬車に乗り込む。

 後ろ髪を引かれる思いを我慢しながら、馬車の窓を開けて手を振ると、ロード様は寂しそうな表情で手を振り返してくれた。

 ロード様はこれから魔獣討伐のために地方へ向かうらしい。リゼはロード様の身の回りのお世話をしつつ、ロード様が出向している間は他の王族の方の侍女として働くそうだ。

 みんな忙しそうで、私だけが取り残されてしまったような感覚がする。


「……まずは、女神様にご挨拶しないと」


 大神殿に向かう道中、ひたすらに王都の景色を窓から眺めていた。
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