再召喚され全てを失った元聖女は、麗しの騎士団長様の溺愛で絶望から立ち上がる。
「お荷物は後ほどこちらに運び侍女が片付けますので、今日はこちらでゆっくりお休みください。魔力についてのお話などはまた明日いたしましょう」
「わかりました」
ソファに座り、ふぅと息を吐く。
ロード様やリゼは今頃何をしているだろうか。考えても仕方ないことなのに、もう寂しさが募ってきたような気がして不安になる。
そうしているうちに扉がノックされ、返事をすると侍女らしき女性が入ってきた。
「初めましてセーラ様。私、本日よりセーラ様のお世話を仰せつかりました、侍女のミレアと申します。どうぞよろしくお願いいたします」
「セラ・イガラシです。セーラと呼ばれています。こちらこそよろしくお願いします」
ミレアはふわふわの赤茶の髪の毛を一つに括っていて、グレーの瞳が綺麗な猫目がツンとして可愛い女性だった。歳を聞くと私より五つも年下でびっくりする。まだ十代なのにすごく大人っぽい。
ミレアの年齢に驚いていると、その足元からひょこっと小さな頭が見えていることに気が付いた。
「……その子は?」
「え? ……あ! 申し訳ございません! アレン! どうしてここに!」
「だって……おねーちゃん、セイジョさまのところにいっちゃうっていうから、さみしくて……」
「お姉ちゃんはお仕事だって言ったでしょ! アレンはお部屋でしばらくお留守番しててねって言ったのに!」
「だってえええ……」
ぱちぱちと瞬きを繰り返す私に、ミレアは焦ったように
「セーラ様、申し訳ございません! 私の弟が、どうやらついてきてしまったようで……」
とその子を隠すように後ろに押しながら泣きそうな顔で謝るから、笑ってしまう。
「えっと……弟さんはアレン君って言うの?」
「あ、はい」
「アレン君、初めまして。私、セーラって言うの。アレン君のお姉ちゃんにお世話をしてもらうの。アレン君もよろしくね」
「……よろしく、おねがいします……」
「アレン君は何歳なの?」
そう尋ねると、
「九歳……です」
と緊張したように呟く。
小学生くらいかなとは思っていたけど、九歳か。ミレアとはだいぶ歳の離れた姉弟のようだ。
ミレアと同じ赤茶のふわふわの髪の毛が可愛らしく、まんまるのグレーの瞳には涙が滲んで揺らめいている。よほどお姉ちゃんが大好きで一緒にいたいんだろう。
「すみません。実は私たち姉弟は最近セイロン様に拾っていただいた身でして。私は運良くすぐにこうしてお仕事をいただけてありがたいのですが、アレンはどうしても小さいので留守番させるしかなく……」
「そうだったの。アレン君。こっちにおいで」
「え……」
「私があなたのお姉ちゃんをとっちゃったから寂しいのよね。ごめんなさい」
「セーラ様!」
私が謝るからか、ミレアが焦ったように声を出す。だけど、私がアレン君からミレアをとってしまったのは事実だろうから。
「ふふ、いいの。……アレン君。もし良かったら、私とお友達になってくれないかな」
「お、ともだ、ち?」
「そう。私ね、実はここに知っている人もお友達も全然いなくて、寂しいなと思っていたところなの。お姉ちゃんがお仕事している間、よかったら私の遊び相手になってくれないかな」
「セーラ様……」
九歳ならまだ働くには難しいし、かと言って一人で部屋で待たせるのもミレアも本意ではないだろう。それにこの世界にはおもちゃというものが少ないから、アレン君も暇だろうし。
それなら、私の話し相手や遊び相手になってくれた方が私も助かる。ミレアも目の届くところにアレン君がいた方が安心だろう。
「ミレア、セイロン様を呼んできてもらえる?」
「は、はい……」
ミレアが呼んできてくれたセイロン様に事情を話すと、そういうことなら、とアレン君も私の部屋に自由に出入りできるようになった。
「アレン君。私のことはセーラって呼んでね」
「セーラ!」
「こらアレン! セーラ様でしょ!」
「……セーラさま!」
「ふふっ、よろしくねアレン君」
この世界に来て初めて、私にもお友達ができたのだった。
「わかりました」
ソファに座り、ふぅと息を吐く。
ロード様やリゼは今頃何をしているだろうか。考えても仕方ないことなのに、もう寂しさが募ってきたような気がして不安になる。
そうしているうちに扉がノックされ、返事をすると侍女らしき女性が入ってきた。
「初めましてセーラ様。私、本日よりセーラ様のお世話を仰せつかりました、侍女のミレアと申します。どうぞよろしくお願いいたします」
「セラ・イガラシです。セーラと呼ばれています。こちらこそよろしくお願いします」
ミレアはふわふわの赤茶の髪の毛を一つに括っていて、グレーの瞳が綺麗な猫目がツンとして可愛い女性だった。歳を聞くと私より五つも年下でびっくりする。まだ十代なのにすごく大人っぽい。
ミレアの年齢に驚いていると、その足元からひょこっと小さな頭が見えていることに気が付いた。
「……その子は?」
「え? ……あ! 申し訳ございません! アレン! どうしてここに!」
「だって……おねーちゃん、セイジョさまのところにいっちゃうっていうから、さみしくて……」
「お姉ちゃんはお仕事だって言ったでしょ! アレンはお部屋でしばらくお留守番しててねって言ったのに!」
「だってえええ……」
ぱちぱちと瞬きを繰り返す私に、ミレアは焦ったように
「セーラ様、申し訳ございません! 私の弟が、どうやらついてきてしまったようで……」
とその子を隠すように後ろに押しながら泣きそうな顔で謝るから、笑ってしまう。
「えっと……弟さんはアレン君って言うの?」
「あ、はい」
「アレン君、初めまして。私、セーラって言うの。アレン君のお姉ちゃんにお世話をしてもらうの。アレン君もよろしくね」
「……よろしく、おねがいします……」
「アレン君は何歳なの?」
そう尋ねると、
「九歳……です」
と緊張したように呟く。
小学生くらいかなとは思っていたけど、九歳か。ミレアとはだいぶ歳の離れた姉弟のようだ。
ミレアと同じ赤茶のふわふわの髪の毛が可愛らしく、まんまるのグレーの瞳には涙が滲んで揺らめいている。よほどお姉ちゃんが大好きで一緒にいたいんだろう。
「すみません。実は私たち姉弟は最近セイロン様に拾っていただいた身でして。私は運良くすぐにこうしてお仕事をいただけてありがたいのですが、アレンはどうしても小さいので留守番させるしかなく……」
「そうだったの。アレン君。こっちにおいで」
「え……」
「私があなたのお姉ちゃんをとっちゃったから寂しいのよね。ごめんなさい」
「セーラ様!」
私が謝るからか、ミレアが焦ったように声を出す。だけど、私がアレン君からミレアをとってしまったのは事実だろうから。
「ふふ、いいの。……アレン君。もし良かったら、私とお友達になってくれないかな」
「お、ともだ、ち?」
「そう。私ね、実はここに知っている人もお友達も全然いなくて、寂しいなと思っていたところなの。お姉ちゃんがお仕事している間、よかったら私の遊び相手になってくれないかな」
「セーラ様……」
九歳ならまだ働くには難しいし、かと言って一人で部屋で待たせるのもミレアも本意ではないだろう。それにこの世界にはおもちゃというものが少ないから、アレン君も暇だろうし。
それなら、私の話し相手や遊び相手になってくれた方が私も助かる。ミレアも目の届くところにアレン君がいた方が安心だろう。
「ミレア、セイロン様を呼んできてもらえる?」
「は、はい……」
ミレアが呼んできてくれたセイロン様に事情を話すと、そういうことなら、とアレン君も私の部屋に自由に出入りできるようになった。
「アレン君。私のことはセーラって呼んでね」
「セーラ!」
「こらアレン! セーラ様でしょ!」
「……セーラさま!」
「ふふっ、よろしくねアレン君」
この世界に来て初めて、私にもお友達ができたのだった。