再召喚され全てを失った元聖女は、麗しの騎士団長様の溺愛で絶望から立ち上がる。

神殿での生活

***

 翌朝。目が覚めてからしばらくして、扉がノックされた。

 そしてセイロン様とカイエン様が顔を出す。


「おはよう、ございます」


 お二人に呟くと、やはり言葉は通じずにセイロン様が驚いたようにわずかに目を揺らした。

 そして二人で何やら話をした後に、いつものように魔力を譲渡してもらう。

 だけど今日はカイエン様ではなく、セイロン様が譲渡してくれるようだ。

 額に当てられた指先。そこからじわじわと身体全体に広がる温かさ。カイエン様から注いでもらう時よりも温かく強く感じたような気がした。

 ふわりと身体が光ったような感覚に目を開くと、今日もこの世界の言葉を理解できるようになった。


「セイロン様、ありがとうございます」

「いえ。魔力を溜めることができないというのは本当なのですね。しかしどこかから漏れているわけでもなさそうだ。確かにうまく馴染んでいない……どうしてだ……」


 私の身体のあちこちに手をかざしながら調べて悩んでいるセイロン様。カイエン様はそんなセイロン様におろおろしつつも一緒に悩んでいるご様子。


「……あの、魔力が馴染まないっていうのはどういうことなんですか?」

「本来、この世界の人間が持つ魔力は血液に混ざっているものなのです」

「血液に?」

「えぇ。なので怪我をして出血したりすると、血液に混ざる魔力の量で治りの早さが変わるのです。魔力が大きい人は治りも早く、その逆も然り。セーラ様も以前は血液にとても多くの魔力が混ざっており強大な力をお持ちでした。しかし今回はどうしてか血液にうまく魔力が混ざらないようなのです」


 なるほど。馴染まないというのはそういう意味だったのか。

 なんとなく理解できたような気がして頷く。


「実は昨日、女神様にご挨拶した時に手の中が温かくなったような気がするんです。それは関係あるのでしょうか」

「それは本当ですか! ということは、女神様は加護を授けようとなさっているのでは……いや、でも……」


 セイロン様はまた悩み始めてしまい、


「セーラ様、少し席を外します。神殿の中でならどこへ行っても構いません。侍女のミレアを必ずつけていただければ、ご自由にお過ごしください」

「わかりました」

「では、一旦失礼いたします」


 お二人はそう言って部屋を出ていく。私は朝食を食べてから、今日も女神様にご挨拶に行くことにした。
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