再召喚され全てを失った元聖女は、麗しの騎士団長様の溺愛で絶望から立ち上がる。
 ミレアとアレン君を連れて一緒に大聖堂へと向かうと、今日も女神様の前で手を組む。


「女神様。おはようございます。今日も一日、皆様にご加護を」


 すると、また手の中がふわりと温かいような気がして目を開く。


「……女神様」


 しかし、今日もすぐにその温かさは手から滑り落ちていってしまった。


「ミレア」

「はい」

「部屋に戻りましょう」

「かしこまりました」


 アレン君の手を引き、部屋までの道のりを歩く。すると


「セーラさま。さっきより手があたたかいですね」


 なんて言うから驚いて足を止める。


「……アレン君、わかるの?」

「はい! うまく言えないけど、なんだかあたたかくてぽかぽかします!」


 嬉しそうなアレン君を見つめ、自分の手のひらをもう一度見つめる。

 女神像にお祈りすると、何故か手が温かくなる。やはり魔力に関係しているのだろうか。セイロン様に伝えておいてよかった。

 部屋に戻ると、アレン君とミレアと三人でティータイムを迎えた。

 と言ってもミレアは頑なに同じテーブルに座ることを拒むものだから、ほぼアレン君と二人でのお茶になってしまっている。


「アレン君は文字の読み書きはできるの?」

「もちろんできます! セーラさまもできるのでしょう?」

「それが……実は私、お話はできるけど文字を読んだり書いたりができないの。ねぇアレン君。もしよかったら、私に文字の読み書きを教えてくれないかな」

「え?」

「私の先生になってほしいんだけど。どうかな?」

「……やります!」


 声を弾ませるアレン君に私も嬉しくなって、笑みをこぼす。ミレアはわたわたしていたけど、またセイロン様に許可をもらうことができると恐縮していた。


「セーラ様……アレンが不敬を働いたらすぐに仰ってください……」

「いいのよ。私は今日からアレン君の生徒だもの。厳しくご指導くださいね? アレン先生」

「はい! きびしくやりますよ! セーラさま、しっかりついてきてくださいね!」

「はい。よろしくお願いします」


 ミレアが頭を抱えていたけれど、私はこれで文字の読み書きができるようになれば、と嬉しい。

 ロード様やリゼにお手紙を書いて、お返事を読むのが今から楽しみだ。
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