再召喚され全てを失った元聖女は、麗しの騎士団長様の溺愛で絶望から立ち上がる。

得体の知れない不安

 ――三日後。

 ミレアとアレン君にはお留守番をしてもらい、セイロン様と数人の護衛を引き連れてあの宝石店に向かった。


「こんにちは……」


 扉を開けると奥から店主の男性がやってくる。


「いらっしゃいませ。お客様。お待ちしておりました。さぁこちらへどうぞ」


 促され、店の奥にある個室に入る。

 そこにあるふかふかのソファに腰掛けると、店主が目の前のテーブルに出来上がった宝石を置いてくれた。

「こちらが完成品です。いかがでしょうか」


 それは、ブルーサファイアのような深い青色を中心に、七色の宝石が輝くアミュレット。

 魔除けの意味も込めたお守りで、ネックレスにもできるしチェーンの長さを調整すればブレスレットやアンクレットとしても使えるものだ。


「とっても素敵です! あとはこれに私が魔力を込めるだけですね!」

「左様にございます。では、方法をご説明いたしますね」


 店主から、ざっくりと魔力を込める方法を聞く。セイロン様も一緒に聞いてくれて、隣からやりやすいアドバイスもくれてありがたい。


「ですが、七つ全てに魔力を込めると相当体力を消費しますよ。本当に大丈夫ですか?」

「大丈夫です! せっかくロード様にお渡しするんです。できるだけ自分の中での理想のものにしたいですから」


 最初は宝石一つだけの予定だったけれど、アミュレットにするために七つも宝石を選んだ。そのため、今日は七つ全部に魔力を込めるつもりでやってきた。

 大変なのは承知の上だけれど、ここで妥協はしたくない。


「……わかりました。体調が悪くなったらすぐに仰ってくださいね? 時間はたっぷりありますから」

「はい」

「まずは、昨日練習した通りにやってみましょう」


 頷いて、アミュレットに向かって手を伸ばす。


 "いいですか? 魔力を宝石に込めるには、まず魔力を小さく凝縮するイメージを持つことが大切です"


 この三日間、セイロン様に教えてもらったことを思い出しながら頭の中でイメージする。


 "ひとまず頭の中で小さな器をイメージしてみましょうか。そこに、血液の中の魔力を集める感覚です"


「頭の中で、器……」

「そうです。そこに魔力を集めましょう」

「……少しずつ溜まってきました」

「いいですね。ではその溜まり始めた魔力に、込めたい願いを混ぜて」

「……はい」


 魔力には、願いも乗せられるらしい。うまく混ざり合ったところをイメージすれば、その願いまでもを宝石に込められるんだとか。

 ロード様のためにどんな願いを込めようかずっと考えて、ようやく昨日決めた。

 健康、成功、勝利、幸福、癒し、魔除け、自己実現。

 本来のアミュレットの意味とは多少違うかもしれないけれど、どうかこのアミュレットが少しでもロード様の手助けになるように。

 どうか、ロード様のお守りとなりますように。

 そんな想いをこめて。

 頭の中で一つ一つ願いを混ぜて、宝石に注いでいく。

 すると、一つ目の赤い宝石が淡い光を放つ。
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