再召喚され全てを失った元聖女は、麗しの騎士団長様の溺愛で絶望から立ち上がる。
「お上手です。このまま量を増やしましょう」

「はい」


 一つ、二つ、三つ、と時間をかけて作業を進め、最後に一番大きな深い青色の宝石に"癒し"の願いをこめた。すると、数回淡く光った後、七つ全ての宝石が一気に強い光を放つ。


「っ……!」


 辺りがふわっとした綺麗な輝きに包まれ、やがて宝石に吸収されるように落ち着いていった。


「……セイロン様、今のは……」

「素晴らしいです。しっかりと魔力を込めることができ、宝石に魔力が宿ったということです」

「じゃあ、成功ですか?」

「はい。お疲れ様でした」


 にこやかに頷いてくれるセイロン様に、私はようやく肩の力を抜いて息を吐く。

 魔力がこもって完成したアミュレットは、さらに輝きを増して綺麗になったような気がした。


「お疲れ様でした。お客様、今後の参考のため、完成品を絵に描かせていただいてもよろしいでしょうか」

「もちろんです。お願いします」


 店主はそのままアミュレットの絵を紙に描き始め、私はその様子を食い入るように見つめる。


「すごい。資料を見た時も思いましたけど、とっても絵がお上手なんですね」

「とんでもございません。皆様のデザインの参考にと描いていたらいつのまにかお褒めいただくことが増えただけでございます」

「ご謙遜を。素敵な絵だから皆さんが褒めるんですよ。自信持ってください。とってもお上手です」

「ありがとうございます。そう言っていただけて嬉しいです」


 そんな話をしているうちに絵が完成して、セイロン様に金庫から出してもらった金貨で代金を支払う。


「確かにいただきました。ありがとうございました」

「お礼を言うのはこちらです。ありがとうございました」


 アミュレットを包んでもらい、私とセイロン様はお店を出た。


「では帰りましょうか」

「あ、待って、実は寄りたいところがあって。行ってもいいですか?」

「構いませんが……お疲れでは? 大丈夫ですか?」

「全然平気です。じゃあ、行きましょう」


 セイロン様を連れて、雑貨屋さんへと向かう。


「アレンへのお土産ですか?」

「はい。先日のお買い物でアレン君からとっても可愛い髪飾りをもらってしまったんですもの。何かお返ししないと」


 三日前に神殿へ戻ると、アレン君が恥ずかしそうに私にリボンの髪飾りをプレゼントしてくれた。

 "おともだちのあかしです!"と言いながら。

 それが余りに可愛らしくて嬉しくて、心が癒されてしまったのだ。

 ロード様へのお礼で頭がいっぱいだったけど、アレン君にも私もお友達の証をお返ししないと。
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