再召喚され全てを失った元聖女は、麗しの騎士団長様の溺愛で絶望から立ち上がる。
「すごく喜ぶと思います」
お店に入ると、すぐに目当てのものの場所へと向かう。
「あの、こちらのペアのティーカップをプレゼント用に包んでもらうことはできますか?」
「はい。少しお時間がかかりますけど、大丈夫ですか?」
「はい。お願いします」
代金を払い、ラッピングを待っている間にセイロン様と一緒に店内を見て回る。
「どうしてティーカップを? それもペアの」
「アレン君との勉強時間が終わった後、いつも一緒におやつを食べるんです。その時に、アレン君が自分のカップがほしいとミレアにせがんでいるのを聞いたことがあって」
「そうだったんですか。すみません。目が行き届いておらず」
「いえいえ。でもこれで、アレン君とミレアとのおやつの時間がもっと楽しくなりそうです」
喜んでくれるかな。驚いてくれるかな。楽しみだな。
「……そうだ。すみません。もう一つ別でティーカップを包んでもらいたいんですけど……」
慌てて店員さんを呼ぶと、快く引き受けてくれて安心する。
「もう一つですか?」
「はい。あの、セイロン様。一つお願いしたいことがあるのですが」
「なんでしょう」
「今包んでもらっているもう一つのカップ、王宮に届けてもらうことってできますか?」
「王宮? ロード殿下にですか?」
首を横に振ると、セイロン様は不思議そうに眉を顰める。
「実は王宮にいた時に世話をしてくれた侍女にお礼ができていなくて。リゼという侍女に届けてほしいんです」
神殿に来て以来、実はリゼともちょくちょく手紙のやり取りを続けていた。
今は厨房で働きながら第二王子様の侍女の手伝いをしているというリゼは、休憩時間に紅茶を飲むのが密かな楽しみらしい。このティーカップなら、その楽しみにぴったりだと思った。
「そういうことなら。承知しました。すぐに届けましょう」
「ありがとうございます!」
そうと決まれば、あとはセイロン様へのお礼だ。
こうやって何回も街歩きに付き合ってもらって、たくさんのことを教えてもらってアドバイスもしてもらって。セイロン様にも何かお礼がしたい。
だけどお店を見て回るセイロン様の視線を追ってみても、表情があまり変わらないから欲しいものなのかどうかがわからない。本人に直接聞こうかとも思ったけれど、セイロン様の性格上、お礼がしたいと言えば受け取ってもらえないのは明白。
それならばさりげなく調査したいところなんだけど……。うまくいかない。
結局セイロン様へのお礼の品は決めきれず、また別の方法を考えることにして店を出た。
「王宮のリゼという侍女ですね。わかりました。遣いの者に託します」
「ありがとうございます」
セイロン様にリゼ用の包みを渡して、ひとまず帰ろうと歩き出した時。
「きゃあああああ!」
「助けてー……っ!」
「いやぁぁぁぁあ!」
突然遠くから悲鳴が聞こえて、私たちは足を止める。
人々が、一目散に逃げていく。
「セイロン様……」
「何かが起こったようです。セーラ様、お逃げください、早く!」
「セイロン様は!?」
「僕は向こうを見てきます! すみません、包みは一旦お返ししますね!」
「セイロン様!」
「転移魔法をかけます。いいですか、神殿なら安全です。僕が戻るまで外に出ないで」
言うが早いか、セイロン様は私に転移魔法をかけてしまい、私だけが神殿に戻される。
目を開けると、いつもと変わらない神殿が目の前にあり。
「……セイロン様……!」
得体の知れない不安が、胸の奥を渦巻いていた。
お店に入ると、すぐに目当てのものの場所へと向かう。
「あの、こちらのペアのティーカップをプレゼント用に包んでもらうことはできますか?」
「はい。少しお時間がかかりますけど、大丈夫ですか?」
「はい。お願いします」
代金を払い、ラッピングを待っている間にセイロン様と一緒に店内を見て回る。
「どうしてティーカップを? それもペアの」
「アレン君との勉強時間が終わった後、いつも一緒におやつを食べるんです。その時に、アレン君が自分のカップがほしいとミレアにせがんでいるのを聞いたことがあって」
「そうだったんですか。すみません。目が行き届いておらず」
「いえいえ。でもこれで、アレン君とミレアとのおやつの時間がもっと楽しくなりそうです」
喜んでくれるかな。驚いてくれるかな。楽しみだな。
「……そうだ。すみません。もう一つ別でティーカップを包んでもらいたいんですけど……」
慌てて店員さんを呼ぶと、快く引き受けてくれて安心する。
「もう一つですか?」
「はい。あの、セイロン様。一つお願いしたいことがあるのですが」
「なんでしょう」
「今包んでもらっているもう一つのカップ、王宮に届けてもらうことってできますか?」
「王宮? ロード殿下にですか?」
首を横に振ると、セイロン様は不思議そうに眉を顰める。
「実は王宮にいた時に世話をしてくれた侍女にお礼ができていなくて。リゼという侍女に届けてほしいんです」
神殿に来て以来、実はリゼともちょくちょく手紙のやり取りを続けていた。
今は厨房で働きながら第二王子様の侍女の手伝いをしているというリゼは、休憩時間に紅茶を飲むのが密かな楽しみらしい。このティーカップなら、その楽しみにぴったりだと思った。
「そういうことなら。承知しました。すぐに届けましょう」
「ありがとうございます!」
そうと決まれば、あとはセイロン様へのお礼だ。
こうやって何回も街歩きに付き合ってもらって、たくさんのことを教えてもらってアドバイスもしてもらって。セイロン様にも何かお礼がしたい。
だけどお店を見て回るセイロン様の視線を追ってみても、表情があまり変わらないから欲しいものなのかどうかがわからない。本人に直接聞こうかとも思ったけれど、セイロン様の性格上、お礼がしたいと言えば受け取ってもらえないのは明白。
それならばさりげなく調査したいところなんだけど……。うまくいかない。
結局セイロン様へのお礼の品は決めきれず、また別の方法を考えることにして店を出た。
「王宮のリゼという侍女ですね。わかりました。遣いの者に託します」
「ありがとうございます」
セイロン様にリゼ用の包みを渡して、ひとまず帰ろうと歩き出した時。
「きゃあああああ!」
「助けてー……っ!」
「いやぁぁぁぁあ!」
突然遠くから悲鳴が聞こえて、私たちは足を止める。
人々が、一目散に逃げていく。
「セイロン様……」
「何かが起こったようです。セーラ様、お逃げください、早く!」
「セイロン様は!?」
「僕は向こうを見てきます! すみません、包みは一旦お返ししますね!」
「セイロン様!」
「転移魔法をかけます。いいですか、神殿なら安全です。僕が戻るまで外に出ないで」
言うが早いか、セイロン様は私に転移魔法をかけてしまい、私だけが神殿に戻される。
目を開けると、いつもと変わらない神殿が目の前にあり。
「……セイロン様……!」
得体の知れない不安が、胸の奥を渦巻いていた。