再召喚され全てを失った元聖女は、麗しの騎士団長様の溺愛で絶望から立ち上がる。
***

「ひとまず、急を要する方の浄化は終わったようです。セーラ様、お疲れ様でした」

「うん、ありがとう。無事に浄化できて本当によかった」


 処置室の中が落ち着きを取り戻し始め、あとは神官たちでどうにかなりそう。


「セイロン様から連絡は?」

「……ございません」


 苦しそうなミレアに、グッと拳を握る。


「カイエン様!」

「どうしました? セーラ様」

「私はこれから、セイロン様のサポートをしに瘴気の出ている場所へ行ってきます。あとのことは、頼みますね」

「なっ……!? セーラ様!? なりません!」


 焦ったように私を止めようとするカイエン様に、ミレアが微動だにせず告げる。


「今のセーラ様は誰が何を言っても止められません。私もセイロン様に殺される覚悟で着いていきます。セイロン様は何も聞かなかったことに。では、行ってまいります」

「ミレアまで!?」


 頼もしすぎるミレアを連れて、怪我人が運ばれてくる魔法陣の前に立つ。


「こちらが転移魔法の陣です。中に入れば一瞬で魔獣の近くに出ます。覚悟と準備はよろしいですか?」

「もちろん。……でもミレアは残りなさい」

「いやです」

「……」

「セーラ様はセイロン様のお言葉を無視なさいました。私には主の命令を聞くように強く仰いました。それならば、主の行くところが私の行くところ。どこまでもお供します。セーラ様が行くことを許可してしまった時点で私の命はセーラ様に預けたのですから、死ぬ時は一緒です。私も多少なりとも魔法が使えますので、ご安心ください」

「……あなたは私に敵わないって言うけど、私こそミレアには敵わないわ」


 そう笑って、二人で手を繋いで魔法陣の中に入る。

 すっと心臓が浮くような感覚がして、そのまま目を閉じるとあっという間に王都の街へと到着していた。

 つい数時間前までここにいたはずなのに、その時とはまるで景色が変わってしまっていた。

 重苦しい空気、どんよりとしていて空が黒い。まるで夜みたいで、混沌としている。


「ミレア、瘴気をあまり吸いすぎないで」

「わかっています。セーラ様、こちらを向いてください」

「なに?」

「……保護!」


 ミレアが私に両手を伸ばして魔法をかけてくれる。


「保護魔法をかけました。これで瘴気を吸わずに済むはずです」

「ありがとう。ミレア、自分にもかけなさい」

「はい」


 ミレアが自分にも保護魔法をかけたのを確認して、私たちは瘴気の出所を探して走る。
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