再召喚され全てを失った元聖女は、麗しの騎士団長様の溺愛で絶望から立ち上がる。

王様の懺悔

「……うむ。そなたの条件、しかと受け止めよう」

「……王様」

「しかし少し考えてさせてほしい。わしにも少し時間をくれないだろうか」

「もちろんです。ご検討いただければ幸いです」


 今日のところはこれで話は終わりだろう。そう思って下がろうとすると、


「セーラ殿」

「は、はい」

「少し、庭園を散歩でもしないか」

「……え?」

「今度はわしの話にも付き合ってもらえないだろうか」


 予想外の展開に、私は言葉を失って固まってしまう。

 そんな私を見て何を思ったのか、王様は側近の方を一旦下がらせ立ち上がる。そのまま階段を降りてきて、私をエスコートするように手を差し出してくれた。


「この国の聖女をエスコートする権利をくれないか」

「は、はい。恐れ入ります」


 恐る恐る手を重ねると、王様は優しく微笑んで歩き出す。

 後ろから側近の方や護衛の方達がついてきて、なんとも言えない緊張感が漂う。

 そのまま扉を開けると、私を待っていてくれたロード様が驚いたように私たちを見て頭を下げた。


「なんだ、ロードか。やはりお前はここまでついてきていたんだな」


 やはり?その言葉に疑問に思うけれど、ロード様は頷く。


「えぇ。まさか陛下と一緒に出られるとは思いもよりませんでしたが。お二人でどちらへ?」

「なに、少し庭園へ散歩に行くだけだ。昔話にでも付き合ってもらおうかと思ってな」

「そう、でしたか」


 納得していなさそうなロード様は、私の方をチラリと見て心配そうな視線を送ってくれる。

 それに、大丈夫という気持ちで微笑むと、ロード様も少しは安心してくれたようだった。


「……ロードよ、心の狭い男は嫌われるぞ?」

「なっ……! 王様、何を仰いますか!」

「はっはっはっは! やぁ愉快愉快! さあセーラ殿、参ろう」

「は、はい……。ロード様、行って参ります」

「……あぁ。気を付けて。王様も、お気を付けて」


 ひらひらと手を振る王様に、ロード様は顔をうっすらと赤く染めながら頭を下げている。

 心の狭い男って、一体何の話だろう。

 そう首を捻っていると、いつのまにか目の前にはあの庭園が広がっている。


「綺麗……」

「そうだろう。……さあセーラ殿、わしの昔話を聞いてくれ」


 目を奪われていると王様の声がかかり、私はしばし王様の話に耳を傾けた。
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