再召喚され全てを失った元聖女は、麗しの騎士団長様の溺愛で絶望から立ち上がる。
「だから再び瘴気が現れた時に、真っ先にそなたの顔が浮かんだ。そなたなら、また立派にやってくれると思ってしまったんだ。……そなたの人生に多大な影響を与えていたことなんて、考えもしなかった」

「王様……」

「わしは浅はかだった。とんでもなく、浅はかな人間だった。国を救ってくれたそなたを救世主だと崇め、そなたの人生を壊してしまったことに気づきもせずに再び召喚した。本当に申し訳ないことをしてしまった」


 王様は私に向き直り、再び頭を下げる。


「改めて謝罪させてほしい。……聖女セーラよ。わしは一生詫びても許されないことをしてしまった。申し訳なかった」

「王様っ! やめてくださいと先ほども申し上げたはずですっ」


 その肩に添えようと手を伸ばすけれど、不敬に当たるからと思うと何もできない。それどころか王様は


「いや、やめない」


 と、頑なに頭を下げ続けた。


「今のわしには、謝ることしかできないんだ。許してほしいなどとは言わない。だが、図々しいことは承知の上で頼む。もう一度だけ、助けてもらえないだろうか」

「っ……」

「そなたの条件を全て受け入れよう。もう二度とそなたのような被害者を生まないために、召喚魔法は禁術に指定する。国史にも、そなたを召喚したことによる影響として、そなたの名と共に記載することを約束する。だから頼む。もう一度だけでいい。私の国を、私の民たちを。どうか、救ってくれないだろうか」


 王様の身体はわずかに震えていて、思う。

 ……あぁ、この方は本当にこの国を愛しているのだな、と。

 本当に、この国を救いたくて。守りたくて。そのためになら、自分のプライドなど捨てられるような、そんな人なのだと。

 王様の行動はやはり全てこのドラムトン王国のためであり、国民のためであるのだ。

 そして私には、この国を救うことができる可能性があるのだ。私しか、いないんだ。


「……先日の王都での魔獣の騒ぎの時、私は必死でした」

「……」

「今の王様と同じで、街の人々が魔獣や瘴気によって傷付けられていくのを、見て見ぬ振りができなかった」

「セーラ、殿」

「自分の手で助けられるなら、助けたいと思った。私にしかできないなら、私がやるしかないと思った。皆に反対されても、できるかどうかはやってみないとわからないと、飛び出しました」


 今も、同じように国のどこかで瘴気に苦しんでいる人がいる。

 もしかしたら魔獣が現れて、襲われている人がいるかもしれない。

 広がるスピードが遅いから、猶予があるわけではない。むしろ、スピードが遅い今がチャンスなんだと思う。

 きっと、私がまたここに呼ばれたのは、運命なんだ。


「……王様。まだ私の力は弱いです。三年前よりも、できることは限られます。だけど、やってみないとわかりません」


 胸に昂る気持ちを、グッと飲み込んで。


「ドラムトン王国、聖女セーラ。浄化のお話、謹んでお受けいたします」


 胸に手を当て、そっと一礼した。
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