再召喚され全てを失った元聖女は、麗しの騎士団長様の溺愛で絶望から立ち上がる。

束の間の休息

「セーラ」

「ロード様」

「おかえり」

「待っててくださったんですか?」


 庭園から王宮の中に入ると、ロード様が私を待ってくれていた。


「我が息子ながら心配性だな。過保護な男も嫌われるぞ」

「……なんとでも仰ってください王様」

「ははっ、ロードもそんな顔をするようになったか!」


 楽しそうに笑う王様は、


「ではこの先はロードがエスコートしなさい」


 と、私の手をロード様へと移動させた。


「セーラ殿。時間をとらせてすまないな。感謝する」

「こちらこそ。ありがとうございました」

「詳しいことは追って連絡するから、今日はゆっくり休みなさい」

「はい。失礼いたします」


 頭を下げると、王様は片手を上げてその場を去っていく。

 見えなくなった頃に顔を上げると、


「セーラ。話はできた?」


 ロード様が心配そうに私の顔を覗き込んでいた。


「はい。……言いたいことを、ぶちまけてしまいました」

「ははっ! そりゃあいい」


 その笑い方が王様とそっくりで、私も笑う。


「不敬罪で捕まったりしないでしょうか」

「聖女を拘束出来るのは王様くらいだ。その王様が許してるなら問題ないだろう」


 そんな話をしながら部屋に戻ると、リゼが不安そうに私を出迎える。

 だけど私の表情が晴れやかなのを見たからか、


「おかえりなさいませ! お茶のご用意ができております!」


 とリゼも笑顔を見せてくれた。


「殿下もどうぞ」

「あぁ、ありがとう」


 当たり前のようにロード様も部屋に入り、一緒にお茶をする。

 ロード様は何も聞かずにいてくれて、どうやら私が話すのを待ってくれているようだった。

 だけど、今後のことはロード様にだけ伝えても意味がない。


「あの、ロード様」

「ん?」

「セイロン様をここに呼んでいただくことって、できますか?」

「セイロンを?」

「はい」


 頷くと、じっと私を見つめたロード様は


「リゼ。至急王宮に来るようにセイロンに伝達を」

「かしこまりました」


 意が伝わったようでリゼに指示を出してくれた。


「王様とどんな話をしたのかは、セイロンが来てから話してくれるのか?」

「はい。ロード様にも、セイロン様にも聞いていただきたいので」

「そうか。わかった」


 微笑むロード様の胸にアミュレットが変わらずに光っているのを見ると、なんだかむず痒くなる。
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