再召喚され全てを失った元聖女は、麗しの騎士団長様の溺愛で絶望から立ち上がる。
「セーラ!」

「ロード様! ご無事でしたか!?」

「俺は問題無い。それより、浄化は完了したんだよな?」

「はい。おそらくもう大丈夫かと。……あ、ただ前回もそう思っていた時に魔獣が飛び出してきたので、油断はできません」

「わかった。見回りをしてくる。セーラはセイロンと一緒に休んでいろ」

「わかりました」


 ロード様は私の無事を確認するとまた飛び出していき、セイロン様に連れられて木陰で休む。


「一度王宮に戻りますか?」

「いえ、大丈夫です。早く他の地域も浄化しないと。セイロン様たちこそ、次に行って大丈夫ですか?」

「はい。問題ございません。ですがセーラ様、どうか無理だけはなさらないでくださいね」

「わかってます」


 見回りを終えたロード様と再び三人で手を取り合い、次の地域へ向けた転移魔法陣へと足を踏み入れる。

 そのまま次の地域、次の地域、と。一度にいくつもの地域を回って浄化を繰り返していった。

 王宮に戻った時にはさすがに疲れ切ってしまっており、足がふらついてしまう。


「セーラ」

「え? ……って、ロード様!?」

「なんだ?」


 当たり前のように私を横抱きにしたロード様。まだ王宮にたどり着いたばかりだから、周りには王宮で働く人たちがたくさんいて。

 ものすごい視線を感じる。なんなら、騎士団の方やセイロン様からまでとてつもない視線を感じる。


「おろしてください!」

「やだ」

「やだって……」


 そんな、子どもみたいな。


「疲れてるだろ」

「それを言うならロード様です! ずっと私たちを守って戦っていたんですから!」


 ロード様が一番疲れているはずなんだから、私のことでさらに疲れさせたくないのに。

 だけど、ロード様は全然おろしてくれそうもない。


「そのために行ってるんだから当たり前だろ。セーラは力もまだ完全じゃないんだ。無理だけはするなと言っただろ? セイロンも同じように言っていたはずだ」

「それは……そうですけど」

「だから黙って運ばれとけ。恥ずかしいなら顔を俺にくっつけておくといいよ」


 そう言われるけど、そんなことできるわけもない。

 オロオロしている私を見かねたのか、小さく笑ったロード様は半強制的に私の顔を自分の胸に押し付けるようにして。


「っ……!?」


 そのまま、疲れなど微塵も感じられない足取りで私を部屋まで運んでくれるのだった。
< 69 / 110 >

この作品をシェア

pagetop