アンコールは君だけに ~孤高のピアニストと秘密の契約婚~
多賀宮家は彼女を奏の結婚相手に見込んでいたという話もあったが、伊織の様子を見ているとそれは違うのかもしれない。
「あたしは三姉妹の真ん中でクラシックがメインだけど、長女の詩織はジャズ、三女の美織はポップスの分野でピアニストの活動をしているの」
「でも、伊織さんポピュラーピアノも弾かれますよね? ロックバンドのフェスでキーボードとして参加されてたの、このあいだ動画で見ました。奏さんみたいにクラシックコンサート一本じゃないんですね」
「世界的ピアニストと一般的なピアニストの違いってわかる? 彼は財団の御曹司でバックグラウンドも完璧だし、技術が桁違いなの。あたしもたまたま家が音楽一家で親が敷いたレールの上を滑ってピアニストになったクチだけど、ソロ一本の演奏だけでご飯は食べられないわ」
「演奏料の話ですか? 父から聞いたことがあります。一回の演奏で五十万円以上の報酬を手に入れられるのは一握りで、それ以外の奏者はピアノスクールや音楽教室で講師業と兼業したり、バンドに所属したりしているって」
「詳しいじゃない。お父さま、音楽関係者?」
「えっと……いまは吸収されちゃったんですけど、MINASEって楽器メーカーの取締役社長でした」
「それってもともと北陸のメーカーよね?」
「あたしは三姉妹の真ん中でクラシックがメインだけど、長女の詩織はジャズ、三女の美織はポップスの分野でピアニストの活動をしているの」
「でも、伊織さんポピュラーピアノも弾かれますよね? ロックバンドのフェスでキーボードとして参加されてたの、このあいだ動画で見ました。奏さんみたいにクラシックコンサート一本じゃないんですね」
「世界的ピアニストと一般的なピアニストの違いってわかる? 彼は財団の御曹司でバックグラウンドも完璧だし、技術が桁違いなの。あたしもたまたま家が音楽一家で親が敷いたレールの上を滑ってピアニストになったクチだけど、ソロ一本の演奏だけでご飯は食べられないわ」
「演奏料の話ですか? 父から聞いたことがあります。一回の演奏で五十万円以上の報酬を手に入れられるのは一握りで、それ以外の奏者はピアノスクールや音楽教室で講師業と兼業したり、バンドに所属したりしているって」
「詳しいじゃない。お父さま、音楽関係者?」
「えっと……いまは吸収されちゃったんですけど、MINASEって楽器メーカーの取締役社長でした」
「それってもともと北陸のメーカーよね?」