アンコールは君だけに ~孤高のピアニストと秘密の契約婚~
――まさか、奏さんのことを見ていたあのひと?
パーティーの夜、会場の端に立っていた危うい印象の女性。
奏を見つめていた、あの目を思い出し、震えが走る。
紬希は慌てて奏のマネージャーに連絡を取り、週刊誌の情報源について、心当たりがあるを率直に訊いた。
『藤原撫子さんという方をご存知ですか。バイオリニストで、以前多賀宮様と……』
紬希は、メールの文面を見て痛感する。やっぱり、彼女は昔の恋人だったんだ。
あのパーティーで感じた違和感は間違っていなかった。
だが今は、それより先に考えなければならないことがある。
――奏さんを守りたい。このまま役立たずなのはイヤ。
気づいたときには、スポンサー側の担当者の連絡先を調べていた。