アンコールは君だけに ~孤高のピアニストと秘密の契約婚~
冬の軽井沢にも連れて行きたかった。雪がちらつくなか煌めくクリスマスのイルミネーションを見せたら、どんな顔をしただろう。夏みたいにウィンドウショッピングをしているうちに奏が彼女に似合いそうだとあれこれ買い与えて彼女を辟易させていたかもしれない。そしてホテルではなく別荘へ連れて行って、暖炉をつけた心地よい空間で一緒にピアノを弾いて、同じベッドで眠る……そんな妄想までする始末だ。
一緒に歩きたかった……見せてやれなかった。
――俺が、追い払ったから。
冷たく突き放したあの夜のことが、また蘇る。
たしかに「勝手なことをするな」と言った。
彼女を不安にさせたくないから「これは私の問題だ」と言った。
紬希が何のために動いていたのか、そのときの奏にはわからなかったから。
一緒に歩きたかった……見せてやれなかった。
――俺が、追い払ったから。
冷たく突き放したあの夜のことが、また蘇る。
たしかに「勝手なことをするな」と言った。
彼女を不安にさせたくないから「これは私の問題だ」と言った。
紬希が何のために動いていたのか、そのときの奏にはわからなかったから。