アンコールは君だけに ~孤高のピアニストと秘密の契約婚~

   * * *


 翌日、リゾナンツァ・ジャパンの担当者から連絡が入った。

「多賀宮様、少しお時間をいただけますか。実は奥様が単独でいらっしゃったとき、こちらからもお話ししたいことがあったんです」

 指定されたオフィスで、担当者は言った。

「奥様がいらっしゃったとき、我々は驚きました。ただ……率直に申し上げると、我々が神経質になっていたのはイメージの問題ではなく、むしろ逆でして」
「逆?」
「軽井沢の写真が出たとき、本社から連絡が来たんです。『あの二人をCMに使いたい』と」

 奏は、無表情のまま動きを止めた。
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