アンコールは君だけに ~孤高のピアニストと秘密の契約婚~
* * *
あれから大急ぎで手配した新幹線の中、二人は並んで座った。
紬希は自分の感情が追い付かないのか、新幹線に乗ってからふたたび泣きだしてしまった。
奏はそんな彼女の髪を撫でながら、耳を傾けている。
「……なぜ、わかったんですか。ここにいること」
「蓮に聞いた」
「レンくんが?」
紬希は、少し驚いた顔をして涙を引っ込める。
「病院に行ったの?」
「雅希に会おうと思って。そのついでに」
ついでに、という言葉に紬希が苦笑する。
「奏さんらしいですね」
「何がだ」
「ついでに、って」
奏は、少し口元を緩めた。