アンコールは君だけに ~孤高のピアニストと秘密の契約婚~
「……なにか言っていましたか」
「雅希は眠っていたから会話はしていない。蓮からは幸せにできるかと聞かれた」
「……それで?」
「すると答えた」
きっぱりと奏が言い切ると、紬希がまた泣きそうな顔をする。
「泣くな」
「泣いてないです」
「その状態を泣いているというんだ」
「……すみません」
奏は、紬希のあたまに手を置く。
不器用な彼は、困った顔をしながら紬希に囁く。
「謝らないでくれ……俺の方こそ、君に謝らなければならない」