アンコールは君だけに ~孤高のピアニストと秘密の契約婚~
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数日後、リゾナンツァ・ジャパンのスタジオで雑誌広告の撮影が行われた。
白やピンクなどの淡い花色の生花が壁いっぱいに飾られた背景に柔らかい照明が当てられたなか、透明感あふれるオーガンジー素材がたっぷり使われた純白のウェディングドレスを着た紬希とホワイトベージュのタキシードを着た奏が並んで立っている。入籍はしたものの、このような形でふたりで結婚写真を撮ることになるとは思ってもいなかった紬希は、「似合うよ」と奏に言われて顔を真っ赤にしてしまった。
ピアニストである彼はモーニングやタキシード、燕尾服など着慣れているだろうに、紬希とお揃いにしたいとスタイリストが指定していたダークブルーのタキシードではなく、持参してきた同系色のものに変更させてしまった。実際に着替えたふたりが仲睦まじく並ぶ姿を見て、こちらの方が似合うとスタッフたちも判断したため、そのまま撮影はスタートした。撮影とはいえ、主役になるのは結婚指輪である。急ごしらえで設置された蔓薔薇の花のトンネルの下のベンチに座ったふたりは申し訳程度にちょこんと座っている。ベンチの周りには奏が紬希に買ってあげた紫陽花”アナベル”によく似た白い手毬の形をした可愛らしい花が飾られており、ふたりを茶化すかのように周囲でゆらゆらと揺れていた。