男装して逃げた先は、生徒会の王子寮でした。

「ねえ、凪くん。お風呂、嫌い?」


顔を覗き込んできながら言う。



質問と距離に喉が詰まる。


「……嫌い、じゃないです」


「ふーん」



琉生は意味深に笑った。


「でもさ、さっきから顔、真っ青だよ」



肩が小さく跳ねて、反射的に首を振った。


「大丈夫です」



また、言ってしまった。



琉生の目が細くなる。


「“大丈夫”って便利な言葉だね。僕も使おうかな」
< 139 / 220 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop