男装して逃げた先は、生徒会の王子寮でした。

ベッドに深く座り、ポケットからウサギのお守りを取り出した。


ぎゅっと握る。



……柔らかい。


それだけで、涙が出そうになった。



唇を噛んで、涙が溢れないようにする。



泣いたら、終わる。


泣いたら、全部ばれる。



ウサギを胸に抱きしめ、震える息を吐いた。


「……大丈夫」



その言葉は、祈りみたいに弱かった。


そして同時に、必死な生存の呪文だった。
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