男装して逃げた先は、生徒会の王子寮でした。
「ふーん。凪咲、ね。
じゃあ“凪くん”だ。“凪咲くん”って長いし」
琉生は人懐っこい笑みを浮かべながら言った。
“凪くん”……。
名前を口にされただけなのに、心臓が跳ねる。
琉生の視線が、眼鏡の奥まで覗き込んでくるような気がした。
「お、いいな。俺も凪くんって呼ぼ〜」
そして玲央が最後に、腕を組んだ状態のままの男子を指さす。
「こっちは庶務の黒瀬隼人。
口悪いけど、根は悪いやつじゃない……たぶん」
「は?」