恋愛する気はなかったのに、年下の彼に甘やかされてます
「けいくん、けいくーん」


もう一度、肩を軽く揺する。


「んー…」


眉が少しだけ寄る。


……あ。

これ、

やっぱりだめなやつだ。


それでも…

もう一度だけ。




「けいくん、ベッド行こ?」

「んー…、しつこいって…。あっち行って…」

「……え?」



……しつこい?

一瞬、

何を言われたのか、

理解できなかった。

今、

なんて…?


さっきまで、

あんなに笑ってて。

あんなに、

くっついてて。

あんなに、

……優しかったのに。


胸の奥が、

じわっと冷たくなる。

まただ。

前と、

同じ。


「……っ」


喉の奥が詰まる。

うまく息ができない。

違う。

違うよね?

寝ぼけてるだけ。

わかってる。

わかってる、けど。


じゃあなんで、

こんなに、

苦しいの。


そっと、

手を引っ込める。

触れていた温もりが、

すっと離れていく。


……さっきまで、

あんなに近かったのに。

なんで、

こんなに遠いの。


「……もういい」


小さく、

誰にも聞こえないくらいの声で、

そう呟いた。

ベッドに向かう足取りが、

やけに重い。

布団に入る。

ひんやりとしたシーツ。

冷たい。

……こんなんだったっけ。


目を閉じる。

でも、

全然眠れない。


さっきの言葉が、

頭の中で何度も繰り返される。

“しつこいって”

“あっち行って”

……なんで、

あんな言い方。


じわっと、

視界が滲む。

こんな、

ちょっとしたことで。

こんなに、

……傷つくなんて。


やっぱり、

私だけなんかな。
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