恋愛する気はなかったのに、年下の彼に甘やかされてます
始まりは突然に
ガタンガタン…
今日はちょっと頑張りすぎたな。
深いため息が自然と漏れる。
電車に揺られ
パンパンになったふくらはぎは
感覚が鈍くなっている。
唯一空いてる席は
居眠りをしている、
酔っ払いの隣り。
今どきあんな絵に描いたようなおっさんいる?
中年小太りの50代前半くらい。
真っ赤な顔をして、
着ているスーツのシャツはベロベロ。
頭にはお決まりのネクタイが
雑に巻かれている。
それはそれは雑に。
そして、
おまけに付けたような眼鏡は
盛大に傾いて。
髪の毛もわかりやすく
期待を裏切らない
見事なバーコードスタイルだ。
電車の揺れに合わせて
少しずつバーコードが
崩れかけてきて…
ヤバっ…
落ちそうじゃんっ!
思わず笑いそうになって
グッと堪えた。
今は三月下旬。
職場の送別会でもあったんだろう。
おっさんの手には
持ち手が結ばれた
白いビニール袋。
お土産だなこれは。
こんなおっさんにも、
帰りを待ってる奥さんがいるのか。
足は限界だけど、
あのおっさんの隣はもっと勘弁だ。
私は窓の外に視線を戻し、
流れる景色を見るフリをした。