恋愛する気はなかったのに、年下の彼に甘やかされてます
すると彼がおもむろにこちらを見た。
その瞬間
ヒュンと息を飲む。
足が止まる。
…やばい。
来ちゃった。
彼はそんな私を見てクスッと笑い、
片手を上げる。
ーーーあ。
気づけば、満面の笑みを浮かべ
両手でブンブン手を振っていた。
まさにアホ丸出し。
まじで何やっちゃってんのよ。
小走りで向かう私。
……いやこれ、絶対ドスドス鳴ってる。
彼はそんな私をニカニカ笑いながら見ている。
彼の前までたどり着く。
近い。
思ってたより、ずっと。
一瞬だけ、言葉が出ない。
「おう。来たか」
そう言って彼は目の前まで来た私を見下ろした。
……初めましてとかじゃないんだ。
なんか、それがちょっと嬉しい。
緊張の糸が切れた気がした。
「へへ。来ちゃったっ!」
「遠かったでしょ」
写真ではわからなかったけど、笑うと八重歯があってなんだか可愛い。
「ううん、あっという間だったよ!」
「そっか。なら良かった。どうする?前に話してた海行く?真っ暗だけど」
彼はイタズラに笑う。
ちゃんと覚えててくれたらしい。
私が海見たいって言った事。
「あはは!確かに!え、でもせっかくだから行きたい!」
「おっけー。乗って」
助手席に案内されて
ドアを開けてくれるけいくん。
車高が高い。
今日ロングスカート失敗だったな…
見られるの…
ちょっと恥ずかしい…。
もたつく私。
「大丈夫、捕まって。あと俺で隠れてるから」
……ズルい。
そういうとこ。
「へへ。ありがと。それじゃ…よいしょっと」
出された手に捕まってなんとか乗り込む。
「クックックックッ。閉めるね」
「うん。ありがとっ」